今年のお正月も高野山へ

DIARY

年末年始は実家のある関西に戻っておりました。
お正月は高野山参りが恒例になっています。
昨年の1月3日、何やら長くて白い木の杖を持って歩いている人がちらほら見られました。
あれはなんだろうと帰って調べましたら、
お正月に行われる修正会の折に参加者に配られる「牛玉杖(福杖)」という物だということが
わかりました。
それまでは儀式もすっかり終わる午後に入山していましたので、全く知らなかったのです。
修正会は1月1~3日の午前9時から一時間半~二時間くらい、金堂にて行われます。
1月5日には大塔で行われます。
「よーし今年は参加するぞ!」意気込んで行ってきました。
午前九時からなんですが、「こうや一号」に乗ってついたのが9時半頃、
それからケーブルカーやバスに乗って、一回降りるところを間違え、
すぐさま来たバスに乗り換え、金堂に到着したのが多分10時すぎくらい?
儀式は11時くらいまで読経が行われました。
暖房的なものは見かけませんでした、とても寒いです!
歌うような読経、錫杖を鳴らしたり、牛玉杖を打ち鳴らしたりします。
仏様の後ろ側にも回って読経(?)を続け、また前にもどってきては、読経。
一人の僧侶が恭しくひとつの布に包まれた重箱のようなものを持ち、
儀式に参加している僧侶さんたちすべてと会釈をかわし、参加者にも一礼していきました。
これで終了です。
そして参加者に杖やお守りが授与されます。
この杖はハゼの木で作られていますが、近年十分な量を確保できなくなっているそうです。
そこで今年は長い杖を配るのはやめ、短い杖を一人限定一本ずつ、配られました。
さて最後のあの箱、
前に座っているベテラン風の方々も「何が入ってるんやろ」と会話しています。
(えー・・・こんな常連さんみたいな人でも知らないのか・・・)と思いました。
気になります。
父母に聞いてみたところ二人とも、「経典じゃないの?」と言います。
そこで、金堂の前で葛湯を配られている、
お参りの人達が暖を取るための場所が設けられているのですが、
儀式を終えたばかりの僧侶の方々もいらっしゃったので、箱の中身をお聞きしました。
すると
「この杖に牛玉杖と書いてますやろ。その通りです。牛の玉です。」
ぽかーん(゚д゚)
何いうてはんのやろ?牛の玉って何? 
となったのですが、
「卑猥な話とちゃいます、高野山の宝物の一つとして、ありますねん」
えっ
本当に牛の玉のことだったんだ!!( Д ) ゚ ゚
「私達も見たことはないんです。もしかしたら何もないんかもしれません。
 でも、そういい伝わっていますし、信じています。」
わーお!
お正月に!!
牛さんの玉にご挨拶してきたよ!!!

後で調べてみましたら、
睾丸というよりは胆石なのではないかとの話も見かけました。
ひぃー。どうしてなの。。。(><) ちょっと調べて出てくることではありますが、 詳しいサイトがありましたので引用させていただきました。

牛玉(ごおう)とは仏教世界の中で宝珠(ほうじゅ)を意味し、
世の中の万物を生みだす物である。
牛玉の語源、字体は諸説あるが、語源で一般的なのは牛の胆のう中に生じた結石を
牛黄(ごおう)と呼び、これを溶いて墨書するところから牛王(ごおう)と書き示した。
他説に牛の体から出てきた毛の固まりの事を示したり、
密教の僧侶により仏舎利32粒、香木など9種の材料によって作られた
丸の固まりを能作生珠(のうさしょうじゅ)と言うがこれをそう呼ぶ事もある。
また、字体が牛王では無く、牛玉と書き示されている事は未だにはっきりした事は分かっていない。
(高野山・西大寺サイトより)

その杖がこちら。
今は紙を取ってしまって、木の棒になっています。

「牛の王」と思ってました。すごいフェイントです。
横にある小さい紙はこの儀式でのみ配られているお守りです。
こちらはいくつでも頂けると言われたのですが、人だかりの中、
「ふたつ」としか言えませんでした(小心者)。
さて大好きな奥ノ院、昨年は空っぽな感じがして、
「お大師さんいない、きっと東北に助けにいかれてる」と思いました。
今年はふわりと明るく柔らかい感じがありましたので、
少しはこちらに戻られたりしているのかもと勝手に思ったりしました。
一人でお参りした際には、バスやら電車のつながりが悪く、
寒い中待たなくてはいけないし、帰る頃にはとっぷり夜もくれ、
大変な思いをするなぁと感じていました。
今回、父母と一緒に行きまして、すべての交通において
(いつもは乗らない実家最寄駅からの2停留所分のバスも、そして信号まで!)
待たずにするすると行って帰ってくることができました。
びっくりするほど早くラクに行って帰ってきてしまいました。
二人はきっと行いが良かったに違いない。。。(=_=)
あ、そういえばまったく雪がなかったんです。
いつも白銀の世界なので、それは初めてのことでした。

でもこのくらいじゃないと(気温-5度)儀式参加は寒くて、キツすぎたかもなので
ビギナーとしてはありがたく思います。
お正月のご報告でした。
いつもは白銀で美しく、人も少ない高野山です。
興味を持たれましたら、ぜひ、がっつり防寒して
三が日の午前の内に金堂の儀式に参加されてみてください。
9時に入らなくても大丈夫、私達は多分10時頃に到着しました。
電車の都合で、この時間合わせがなかなか難しいんですよね。
11時くらいまで儀式が続くんじゃないかと思います。
歌うような読経を聞くことができます。
参加者を見ると瞑想中のような方も何人かいらっしゃいました。
金堂内は寒いです、暖房はありませんから手足をしっかりあったかくして
参加されてください。
それから奥ノ院へ向かい、入り口脇の売店でおうどんを食べてお参りすると
良いんじゃないかと思います。
でも、寒いです!

さてさて、終わったことだけでは同じ道をたどるにも来年を待たないといけませんから
今後の気になっている高野山行事について。
お大師さんはまだ奥ノ院で生きておられるので、毎日僧侶の方がご飯を運ばれています。
そのお大師さんが一年に一回、衣替えをされるのです。
その一年間着られていた衣を小さく切り、お守りとして授与されます。
「御衣切(おころもぎれ?ごいぎり?)」というそうです。
なくなれば終了で、4月から夏頃まで配られているとかなんとか。
このあたりの時期にはお参りすることができないので、気になっていますが
実物を見たことはありません。
とてもエネルギーが強くて、具合の悪い折にはその布から繊維を一本引き抜いて
水に浮かべて飲むとよくなる、と聞きました。
夏もきっと緑が美しいので、お参りに行かれることがありましたら、
奥ノ院で尋ねられてみてください。

桑坂 碧

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目に見えないものが普通に認められるようになってきたこの時世に、その時々に少しずつ変わっていく大切なことを逃さず、楽しみ、好きなものに手を伸ばし、書き残してい...

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