革製の水彩パレットが発売されます!

私が犬散歩スケッチで愛用している、革製水彩パレットのVer.4が発売されました!
私が使っているのはVer.3なのですが、どう変わったのか、どこで売ってるのかなどなど、一度はこちらでもお話ししたかったのでこの機会にご紹介します。
目次
アメリカとカナダのコラボ商品
このパレットはアメリカの画材と文具、美しい雑貨たちのセレクトショップ「Martha Mae art supplies & beautiful things」が監修し、カナダの「Tundra Leather」が皮革加工を担当、そこに同じくカナダの「Beam Paints」が絵の具を充填して完成されています。大きくはマーサ・マエさんのショップと、Beam Paintsのコラボということになっています。
Beam Paintsは私も何度かこちらのブログに掲載しているのですが、カナダのオンタリオ湖にうかぶマニトゥーリン島に工房があり、その土地の文化を大切に、地元で採れた土やメープルシロップ、はちみつなどと顔料を使ってプログレードの絵の具を作られています。プラスチックフリーを目指しており、絵の具も蜜蝋を染み込ませた布を折った容器に入っています。

今回はジョージア・オキーフがテーマ
Ver.1~3まではターナーの革パレットを意識し、革の色は濃い茶色で、中の絵の具もターナーの絵に使われている色をイメージしてセレクトされています。
このパレットの特徴としては、マゼンタ、紫が出せません。オールカラーレンジを出すパレットを使っていた私は、最初は苦労しました。
しかしスケッチブックに書き溜まっていく絵をパラパラとみていると、マゼンタの気配がないことによる不思議な心地よい統一感がありました。ターナーの三原色の絵に出てくる温かい、茶色のようなオレンジのような赤がマゼンタに、鮮やかな紫はおちついた土色をプラスした青に置き換えてゆきました。
見たままのリアルなものを描くのが上手いとされる世界観は捨て、イラストを描くような気持ちでスケッチしました。それでも混色がわからずただ濁らせるだけのこともあり、悔しい気持ちになったことも多々あります。
こういった限定した色をセレクトして作ったパレットを「リミテッド・パレット」といい、絵には独特の色彩感・世界観が生まれます。この経験はとてもためになりました。
今回はジョージア・オキーフが晩年を過ごした場所・ゴーストランチで水彩スケッチ・リトリートを開催したマーサさんが、そのことからインスピレーションを得て、革の色はナチュラルに、絵の具の色もオキーフの絵に使われた色に近いものをセレクトされました。
そして今回はなんと30色の大きなパレットも発売です!(前回は8色と20色でした)
これらのパレットは限定販売なので、在庫限りで販売は終了となります。今回は2年ぶりの販売で次はいつになるのかはわからないです。
The O’keeffe Palette 30色 260ドル
The O’keeffe Palette 20色 185ドル
Martha Maeさんのお店での販売では、小さな携帯用の筆がついているみたいです。日本への発送はしていないので、Beam Paintsの発売待ちですね。
ちなみにこちらのお店、MDノートやトラベラーズカンパニーの商品など日本の文具もいくつか販売されています。
使ってみてどうだった?
私が買ったのは2023年の秋の終わりでした。もうそろそろ2年になります。
水、全然平気!
一番の心配として、革を水で濡らすとか正気の沙汰ではないのですが、全然平気でした。
とくに水染みができたような感じもなく、留め具を通す革が甘くなったようにも感じませんでした。
閉じた時に絵の具同士がくっつかないように蜜蝋布が挟まれていたのですが、落としてしまってから挟むのをやめました。おかげで向かいの色が移るということもありますが、それもまたよしかと使ってしまっています。たまに絵の具同士がくっついて、ばりっと剥がす感じにはなります。
あまりびしょ濡れのまま閉じるとカバンの中に流れ出るかもしれないので、それは注意です。
軽い!
また、革なのでパレット自体が軽い!!片手でスケッチブックと一緒に持って、立って描くことができます。
充填されている絵の具がなくなった時のことを考えて不安になっていましたが、好きな色に詰め替えることもできます。私は似た色を探してきて詰めています。Beam Paintsさんで固形リフィルが販売されているのですが、絵の具が出っ張ってしまって閉められなそうなので、これには合わないかな(他に「木の切り株パレット」などの商品があり、それには使えます)。使い切ったあとは手持ちのものを詰めるといいでしょう。
最近になって、この色は使わないなと思ったところは外して別の色を充填したりしました。
混ぜるとこない!
使っていての一番の不便、たぶん皆さんが困るであろうことが「混色する場所がない」ということだと思います。
これはもう、ほとんど水溶きペンで描いているつもりになって描くか、絵の具の上に他の絵の具をぐるぐるかき混ぜて使っちゃうという、乱暴な混色方法で描いていました。
あまりにひどい時は(黄色をつかいたいのにほとんど緑になっているなど)、筆に水をつけて撫でるのを繰り返し、きれいになるまで掃除します。
これは…何色…?
あと、Beam Paintsさんの特徴かもしれないんですけど、品質が安定しないんですよ。
「●●色」といってもロットごとに違うのを覚悟の上で買っています。神経質な人は避けたほうがいいか、おおらかになる練習だと思って使うかですね、色自体は美しいんですよ。なんともいえない味わいがあります。とくにTimber Wolfは他に変えられないです。「星の絲の100日」シリーズの青はこの色でした。
私が買ったこのパレットの一番左のラインの上から2番めと4番め、違う色のはずなんですがほとんど一緒でした笑。水によく溶ける黄土色と、あまり溶けない黄土色でした。
本来、片方には肌色が入っているはずでした。今は別の色を詰めているので、別の色として使えています。
ちなみにお店はめちゃ親切ですよ!(フォロー)
革はお手入れいらず
また、ケースの表面(絵の具が入ってる面じゃないほう)にはラナパーを2回ほど塗ったことがあったと思いますが、ほとんど変わらないです。
ただ、今度はナチュラルカラーの革、ヌメ革っぽいのでもっと変化しそうな気がしないでもないですね。絵の具の色も染み込みそう。ということは、けっこういい変化をするのでは…。
Tundra Leatherさんの革製品は他にも持っていますが、ナチュラルなタンニンなめしっぽい感じです。
絵の具が入っている側の革も、今のところ劣化なし。水に触れてるのにすごい。どうなってるの。
お値段がきびしい
まぁ…高いですよね。値段が一番ツライところです。とくに円が弱い時ですし。前回よりも上がるんだろうなと思っています。
唯一無二のものを買うんだ、革製品を買うんだと思うと納得できますが、パレットと思うと頭がおかしいかもしれません笑。
かなりニッチな商品であることは間違いないですが、ターナーの使い古したパレットのように、一生ものとして使っていけたらいいなと思っています。
持ってみるととてもかわいいです。上がります。
左はPaper Republicさんのgrand voyageurストーングレイ(これも限定でしたがオーダーリクエストはできるらしいです)に、好きな紙で作った手製のスケッチブックを挟んでいます。
新しいパレットがきたら革カバーもナチュラルに変更しようかな。
描いてすぐ閉じるので、トラベラーズノートのブラスクリップで蝋引き布をはさみ、描いた絵が向かい側の紙に移らないようにしています。
あとはタオル地のリストバンドで私のスケッチ道具一揃えが完成です。
ちなみにリストバンドは自分があまり着ないであろう色にしたほうがいいですよ。
冬にグレーの手袋をしていると、リストバンド(グレー)をするのを忘れて手袋で筆を拭いたことが多々あります。似たような色のコートの袖で拭いたこともあります笑。
ではでは!
楽しいスケッチライフを!