私の記憶につよく残る3つのアートセラピー

SNSを見ていたら、偶然にアートセラピーの先生の名前を発見しました。
気になって先生の今の活動情報をネットで辿っていたら、お亡くなりになっていることがわかりました。
この先生のアートセラピーはとても強く記憶に残っており、どこかに記録していないのかと自分の過去のブログを検索しても出てこなかったので、今なら書けそうとも思いますし、他の印象的なアートセラピーの話もいっしょに残しておきたいと思います。
もうかなり前のことで詳しいことは覚えておらず、違っている点もあるかと思いますが、そこはお許しください。

印象に残っているアートセラピーは3つ

絵の可能性を模索していて、アートセラピーを体験しまくっていた時期がありました。
いろいろやってみた中で、3つのアートセラピーが印象に残っています。
ひとつめはMeeraのアートセラピー、ふたつめはシュタイナー教育のにじみ絵でした。

そして3つめは、「なんでもいいから描いてください」と絵を描いた時のことです。こちらは何がベースとなっている活動なのか、どこで見つけて参加したのか思い出せません。
「アートセラピーってなんですかねー」
「なんでしょーねー、うん、あなたは問題ないですね
ありがとうございました~… と終わってしまいました。
私が趣旨を間違えていたのかもしれません。でも、「何もない」という面白い体験でした。

なんでもいいから絵を描いて、といわれると困りますね。なんだか花を描いちゃいますね。そしてそんなありきたりな、概念の強い自分に落ち込みます笑。
3つめの話はほんとにこれ以上なにもなくて、これでおしまいです。「なんだったんだ…」と愕然としつつ帰宅したのが、記憶に残っています。

それでは、先の2つについて記録します。

Meeraのアートセラピー

セラピーだからパステルでフワフワの絵を描いたり、繊細な会話をしたりというイメージだったのですが、まったく違っていました。

「はい!踊って!ミュージックスタート!!」

から始まり、「ジャンプして!」「怒って!」との掛け声のままに、参加者たちがうめき声をあげて踊り狂います。
わぁー…えらいところに来てしまった…と思いました笑。この先生はOSHO出身の方で、そういえばOSHOタロット教室も踊りから入るって経験者が言ってたなと思い出しました。

OSHOって何?

OSHOという目覚めた方(哲学者?)がインドにいらして、アシュラムを開かれていました。OSHOの話を聞いたり、瞑想会やセラピーなどが開かれていて、参加することができるような場所なのだと思っています(行ったことはないし体験者に聞いたわけでもないです)。
日本から通っていた人もとても多く、彼らは見た目や呼び名にすこし独特の雰囲気があって、スピリチュアル系のイベント等では必ず見かけました。
OSHOご本人は1990年に他界されていますが、アシュラム自体は継続されている模様です。
現在のOSHOのサイトはこちら

本もたくさん出ていて、私も読みました。タロットもお気に入りで、テーマが「禅」だったのかと改めて今思いました。とても深く、枠組みを外すような洞察をくれるタロットで面白いです。
それともう一点、トランスフォーメーションタロットというものも出ていますが、英語版のみだったかと思います。


【あなたを導く禅の思想】Osho Zen Tarot 和尚禅タロット 日本語版

そうそう、タロットで思い出しましたけれど、私がトートタロットを引く際に参考にしている本の筆者・マンガラさんも、OSHOコミューンにいらっしゃった方です。
日本で講座開催された時に使っていた超高価・大判テキストをもとに、現在はきれいな普通サイズの本が出版されています。
正統派トートの方からすれば、独自解釈OSHO風味なので、これだけでクロウリーが語るトートの理解はできないとのことでした。


直感のタロット

私自身、本などの内容は親しみやすさを感じます。

やっと絵を、描く…?

さて、それではアートセラピーの続きです。
二人一組になり、床に広げられた大きな画用紙に自由に絵を描きます。
原色のアクリル絵の具が揃えられていましたが、私は明るく優しい色を使って絵を描いたと思います。

「では、ペアの人と絵を交換してください。そしてその上から絵を続けて描いてください。

えええええええ!?人の絵に筆を入れる!?それはつまり、私の絵も上から色を塗られる!?
しかも私がその時ペアになったのは、ずっと怖い顔をしている女の子で、彼女から受け取った絵は一面真っ黒でした。
『これは…一番大変なペアかもしれない…』と思いつつも真っ黒なのをいいことに、絵の具を飛ばして夜空を描いたんだと思います。

「はい、それでは絵を返して。さらにそこに絵を続けましょう!」

真っ黒になった私の絵が帰ってきました笑。
まじかー…しかし負けない!!と、優しい色は諦めて、やけくそになり黒に負けない派手な色をぶちまけて混ぜて、上塗りしていきました。(ある意味、殻を破った)
その時の絵が、この記事のサムネイル画像になっている絵です。今見ると、黒を対極の白で抑え、上から黄色と緑で圧倒しようとしている感じは、私っぽい。

彼女のほうは戻ってきた絵を、また黒くしましたが、その下からカラフルな色がちらほらと見えていました。

「されて嫌なこと」と「嬉しかったこと」は紙一重

そしてお互いの絵を見て、「されて嫌だったこと」「嬉しかったこと」をディスカッションしました。
彼女は泣いていて「私の絵をきれいにした!!!」と怒り、良かったことにも「絵をきれいにしてくれた」と同じことを言っていました。そこに感謝の意はなかったように記憶しています。
あまりの打ち解けなさに周りがざわっとしてきたので、Meeraから「彼女は大事な人を亡くしたばかりです」ということが告げられ、Meeraが彼女をケアしていました。
最後までMeera以外には心を開くことはなかったように思いますが、それで良かったんじゃないかなと思います。

彼女以外にその場で仲良くなって、しばらく交流が続いた人もいました。

Meeraのアートセラピーに触れる本

この時の体験と、このような感情の発露を伴うやり方については、否定したり肯定したりしながらここまできました。
また絵を描いている今の迷いのヒントになるのかもと、Meeraの本を買って読みました。これが…とても良かったです。心理学がベースになっていることも書かれており、世界中を旅し暮らした中で培われた、アートと人間の本質について語られていて驚きました。画法の話も多く、一通り絵の描き方を通ってきていると、より面白いと思います。
欲しかった言葉がたくさん載っています。彼女に一度でも逢えてよかった方です、あの頃の私を褒めたい。


瞑想アート ミラ(橋本一枝)

きれいな絵にまとめることばかり考えていると、虚しい気持ちになってきます。なぜ嬉しくならないのだろう。
しかし魂や本質そのものや、それらを表出させるということがわからないし、それに価値があるのかどうかもわからない(そうすることに・表出した自分の中身に)。
それでも「こんなことをして何になるんだろうか」ということのひとつの答えにつながる道ではあると思いますし、そこにどっぷり行かなくても、そのエッセンスを持って絵を描くのは(ものを作るのは or 働くのは or 生きるのは)人生の味わいを変えてくれるものになるのかもしれません。

とにかく、描こう。

■Meeraアート財団のサイトはこちら

絵についてOSHOタロットひいてみた

せっかくなので、OSHO関係ふたつのタロットを使って「絵をどのように描いてゆけばよいか」を引いてみました。

左は「役立たずのまま楽しむ」、右は「(現在進行形で)しっかりと自分自身を体験する」という感じの意味だったと思います。どちらも木の話です。
私はスケッチで木ばかり描いていますし、なかなかシンクロがとれているなと思いました。

「自分の価値を証明しようとして、自分自身を商品におとしめてはいけません。 生の最も偉大な体験は、あなたがすることを通してやって来るのではなく、それは詩を、絵を描くことを、愛を、瞑想を通してやって来ることを覚えておきましょう。」

絵を描くことが解説の中に入っていて「おっ」と思いましたけど、トランスフォーメーションタロットはこれまでほとんどピンときたことがなかったんですよね。ちょっと使ってみようかな。
質問に対する答えのヒントとなるような、世界中の逸話(講話?お説教?)が収められているというような感じです。

シュタイナー・にじみ絵の教室

シュタイナー教育で行われている絵の描き方はとても面白いです。色彩論がよいです。
赤、青、黄色の三原色のみで描かれる「にじみ絵」で、それを体感して学びます。
「青は遠ざかる」「黄色は外へ広がる」「赤は均一に輝く」など、それぞれの色に動きがあるとされています。

にじみ絵専用の絵の具があり、顔料の定着を弱くしてより動きやすくしてあるんだと思いますが、シュトックマーというブランドからその絵の具は発売されています。
(他の水彩と同じようにパレットに出して乾燥させたら、すぐに全部剥がれました)


シュトックマー STOCKMAR 画材 絵の具 水彩 透明絵の具 三原色 6本セット 20mL

その絵の具をびっくりするくらい薄く水にといて、それを何度も塗り重ねて、色の動きたい方向へと筆を進めていきます。
そうして重ねた後、その模様がなにかに見えてきたら、その方向へと絵を完成させてゆきます。

シュタイナー教育に関わる人はいい人が多そう

私が通ったところでは、先生から「あなたは青色と黄色で描いてみて」と指定があり、それに従って描き進めます。
私は2色の丸を描いていました。それが上の写真ですが、見てとれないと思いますが、何時間もかけてこれを描いています。
その教室には先生を信望している善良で物静かな先輩がひとりいました。
教室には一輪挿しに花が飾られていましたが、それはその先輩が花と花瓶を持参して、教室に飾り、終わると持ち帰っていると何度かめに知りました(区の貸出会議室で開催されていたので)。
「なぜそんなことを?」と聞いたら「気分が和むでしょう?」といわれ、あまりの人のよさに驚きました。たしかそんなに近所ではないところから通われていたと記憶があります。

赤い絵の先輩

先輩は、赤い絵を描いていました。赤一色です。
私たち(友人と二人で参加していた)が参加する前も、赤の絵を描いていたと言っていたと思います、二枚目の赤い絵でした。
先輩の絵は、ある日とうとう赤い帆船に仕上がりました。まるで船出のよう…『おお~、これで次の色に進まれるのだな』と思っていました。
「先生、次の絵は何色で描けばいいでしょうか」と訪ねた先輩に、先生は

「ん~……、赤ね!」

先輩はしずかに「…はい、わかりました!」と答え、また意欲をもって赤い絵を描き始めました。
私と友人は唖然。これは本当に衝撃的なことでした。

先生が色を選ぶ基準はあまりよくわかりませんが、その人に足りない色の要素を学ばせているというようなことだったと思います。
その後私はその教室をやめてしまったので、先輩の三枚目の赤い絵が何になったのかはわかりません。

おすすめ本

色彩の捉え方は、実践についてはこちらの本に詳しいです。


色彩のファンタジー―ルドルフ・シュタイナーの芸術論に基づく絵画の実践

理論的に読めればいいという方にはこちら


色彩の本質・色彩の秘密(全訳)

これらに追加して知りたかったら、ゲーテの色彩論がいいと思います。


色彩論 (ちくま学芸文庫)

正直、私にはどれも難解でした。
しかし面白いのは緑色が「生命が死にゆく色」という表現をされていることでしょうか。植物と動物は反対の存在で…とかそんなだったような気がする、だから赤は人にとって活気の色だけど、植物は枯れると赤くなるというような。
また、アトリエルピナスさんが出されている「響き合う色」というシリーズの絵の描き方の絵本に、エッセンスがあります。これがわかりやすいかも。
生きた色を学ぶのには、とても良い考え方だと思います。

また、海外では同じ手法で描かれた絵を「Veil painting」と言います。これはインスタグラムでぜひ見ていただけたらと思います。美しいです。
私も犬散歩時にしているスケッチで使う水彩は、三原色をベースにしています(赤青黄の暖色・寒色の6色)。そこから色を作り出して塗ると、とても鮮やかな絵になるように思います。
最近日本でも販売されるようになったダニエルスミスのエッセンシャルセットがおすすめです。高品質絵の具を使うと混色しても美しいので、6色で描くのなら高品質を使われることをおすすめします。


ダニエルスミス 透明水彩絵具 エキストラファイン エッセンシャルミックス 6色セット グラウンド付

シュタイナー教育にはオイリュトミーという踊りの教育もありますが、OSHOみたいに感情を爆発させず穏やかに美しい印象があります。

もう随分昔の話です、今は不明

これらの話は少なくとも15年以上は前の話なので、Meeraさんは現世にはおられませんし、シュタイナー絵画教室の方のサイトも…大変申し訳ないのですがわからなくなってしまいました。活動されているのかどうかもわかりません(日本にいなそうな雰囲気の方でしたし)。
なので「今、どこでこれらと同じ体験ができるか」というと、無理だと思います。
それでもMeeraさんの流れを汲んだ方はいらっしゃいますし(日本にいるかどうかは不明です)、シュタイナー教育の絵画、色彩について講義されている方は多いと思います。

これだけ時間が経ったということは、アートセラピーの世界も進んでいるかもしれない。
私自身は海外のミクストメディアアートが、セラピーに近いなと感じています。自分を緩めて自由になるアートです。また、外に出て、植物と交流して描くだけでも相当気持ちが良いので、野外スケッチも私にとってはセラピーです。

これから梅雨になりますので、人が少ない公園の、屋根のある休憩所で雨の景色を描けないかなと考えています。
雨の中海を描いたのは面白い経験でした、絵の具ってめっちゃ流れます。この人の動画を見てやってみたことです。「ミクストメディア」だし「野外スケッチ」ですね!(この画材欲しい!)

最初からセラピーを目指してなにかをするのは、なんだか違うような気もします。
没頭して楽しんだり、学べることがあれば、それが最高ですね。

桑坂 碧

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目に見えないものが普通に認められるようになってきたこの時世に、その時々に少しずつ変わっていく大切なことを逃さず、楽しみ、好きなものに手を伸ばし、書き残してい...

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