2019年「忘年筆」と2020年「新年筆」

2019年「忘年筆」と2020年「新年筆」
文具

年末はドタバタしていて万年筆の吟味どころではなかったのですが、帰省時、新幹線の駅で欲しいな~と思っていた万年筆があったので、休みのうちにいじって遊ぼうと思って買っちゃいました。Kaweco のアルスポーツです。それが忘年筆になりました。
忘年筆とはなんぞ?という方はこちらを御覧ください。恒例の年中行事というのか、なんというのか…。

そもそもなんで今、Kaweco熱なの?

昨年銀座伊東屋でのイベント「システム手帳サロン」で購入したブレイリオのM5手帳に合うペンがKawecoのアートスポーツだけでした。
この手帳はペン差しが少し下についていて、ペンクリップの高さが他のペンでは合わなかったんですね。セーラーのプロギアスリムミニを使おうと思ってたのにー。トラベラーズノートのブラス万年筆パイロットのミューも試しましたが、どれもペン先が下に出過ぎます。
そのためか、同じ手帳を使っている方はペン差しリフィルを別購入して使っている方もいらっしゃるようです。もう少し上なら、刺せるペンも増えようものなのに(ブレイリオの中の人に届け、この祈り・笑)。

それでこの手帳に合う色のKawecoはなんだ、という深堀りが始まりました(笑)。コバが深い赤なので、こんなものもヨーロッパから取り寄せてみましたが、私的にはいまいち合わなかったです。ペン自体は好きですけど。


Kaweco クラシックスポーツ ギロシェ1930 ボルドー。35ユーロくらい。配送は追跡をつけて20ユーロ、10日くらいで到着しました。


ん~悪くないけど微妙。微妙な差が余計に気になる。もう少し明るいんだな。コーラルが良かったかな、買う勇気なかったけど(高い)。

Kaweco熱の原因、もう一点は「クラシックスポーツの廃盤スケルトンを見つけた」です。この万年筆「いつか買う」と思っていたら廃盤になっていて、かなりあとになって知りました。壊れやすい?素材に問題がある?ような記述を見たような気がするのですが、後で探してもその記事を再発見できず、本当のことかどうかはわかりません。

それが一本だけ、文具店の陳列棚にあったんですよ。さすがに書き味はちょっと微妙だったのですが、使いまくって今では快適になっています。
試筆をさせてくれるお店でしたから、書き味の良いものから売れていくと思うんですね。最後まで残っているということは、ペン先が左右違いすぎる、先が割れすぎているなど、整っていないものの可能性も高くなります。安価なのと、なんならニブシェイパーさん(ペン先を研ぎ直す職人さん)にお願いすればいいやと思ってさくっと購入しました。結果、かわいくてメロメロになりました。軽さも良い。

程なくして、インスタグラムでもう一本、在庫がある様子の商品紹介写真を発見。お問い合わせしてもう一本、九州から通販してもらいました。これで安泰…予備も確保できました(気に入りようが激しい)。こちらの一本はペン先に反った感じがあるので、控えにしています。いずれペン先を研ぎ直してもらおうと思っています。

そしてこのスケルトンがブレイリオのM5になかなかよく合いました。

アルスポーツにも手を出す

スケルトンが手帳にあっていたのでそれでよかったのですが、コレクターとか○○愛好家ってその対象物について調べ続けるので、その関係商品が目について物欲連鎖が始まるんですね。沼の入り口とも言うかもしれません。「#Kawecosport」とか、「#Kawecoartsport」などのタグを見漁ります。それでまたまたインスタグラムで素敵な写真を発見しました。

こんな不鮮明な写真なんですけど(笑)。
もともと私は金色より銀色を身につけることが多いので、これもいいな~と思い始めました。
Kawecoの万年筆って扱っていない文具店も多いんですが、新大阪で見つけたので運命を感じちゃって、すぐに物欲タロットをスマホのアプリで見たら「太陽」のカードが出たので決定しました。タイミングとご縁ですね。うふふ。

鉄ペンと金ペン

私が普段使っている万年筆はほとんど金ペンなのですが、Kawecoのスポーツ系シリーズは鉄ペンしか販売されていません。それを年始に、ペン先ユニットを金ペンに交換してきました。
本当に久しぶりにゆっくり文具店に入ったのですが、足を踏み入れたとたんに疲れた細胞が「ザワザワッ!」と蘇る感覚があって、私は本当に文具が好きだなぁと思いました。体調が悪かったので、なおさら実感しました(笑)。


落ち着いた金色になり、見た目もなかなか良いです。
もとの鉄ペンM字幅が好きなのですが、金ペンにすると太めになるので字幅はFにしました。ちょっと細くなったかな。交換時に相談した店員さんが私の試筆の文字を見て「その文字の大きさならF字がいいかも」とアドバイスくださいました。

鉄ペンというのはペン先の金属部分がスチール製ものを指していいます。鉄ペンに対して金ペンもあり、14金や21金のペン先のものがあります。数千円の万年筆と、数万円の万年筆の差は何?というと、だいたいこのあたりで違ってきます。(稀に限定品で鉄ペンでも数万円するものがありますが)
万年筆のペン先に金が使われていると知らない方は、びっくりするかもしれないですね。

この2つの書き味はかなり違いまして、かんたんに言っちゃうと鉄ペンは固め・カリカリで、金ペンは柔らか・まろやかです。
あと、酸性に傾いたインクを使うと、鉄ペンは反応してサビが出ることがあります。以前、カクノ(鉄ペン)にペリカンのブルーブラックを入れて放置していたら、ペン先の顔の刻印の部分のみ茶色く変色していたことがありました。金ペンは錆びないので、こういうことにはなりません。

かといって、好みにより「金ペンよりも鉄ペンが好き」とか、「このペンは鉄ペンだけど書き味のバランスがばっちり」ということもあります。どちらも良さがありますね。

Kawecoのプロフェッショナルストア

ペン先販売と交換は、Kawecoが認めたプロフェッショナルストアと認定されている店舗でのみ行っているサービスです。今回の私は大阪・梅田のナガサワ文具センターへ行ってきました。
いやぁ、茶屋町がすごいことになってましたよ。私が居た頃は、ぽつんとロフトしかなかったのに(1990年代のことだから、そりゃ変わるか~)。
お客様も少ない時間帯でしたので、スケルトンのペン先も診てインクフローの調整をしてくださいました。「梅田のナガサワは親切」という噂は聞いておりましたが、本当に親切でした。すべての万年筆のペン先をチェックしているそうですから、安心してお買い物していただけるかと思います。万年筆購入におすすめです。

Kawecoのプロフェッショナルストアは、東京ではブングボックスさんがありますね。対象商品、ペン先一覧、価格など詳細はこちらの代理店のページで御覧ください。

Kaweco金ペンの書き味はどうなの?

この…金ペンユニットが…本体より高いんですよ…(現在15000円+税)。それだけペン先に価格を左右する要素があるということを、しっかりと実感しました。

しかし、オンラインでペン先を替えた人の感想を見ても、あんまり感動がなさそうなんですよね。それで躊躇していたのですが、普段金ペンを使っているので「やっぱりこれだ!」の書き心地で、安堵しました。おもちゃっぽさが一気になくなって、高級万年筆の感触が出ます。安心、安心。さっそく大好きな酸性インク、ペリカンのブルーブラックを入れて使っています。このインクはフローがちょっと渋くなりますが、それでもぬらぬらと書けるのは金ペンならではなのか…いや…個体差か。一応店員さんにもこのインクが使いたいことを相談したので、調整しておいてくれたのかもしれません。

しばらく使ってみて、あきらかに感触が違う紙と、金ペン・鉄ペンの差が出にくい紙があるなと気づきました。それも感想に差が出る要因のひとつかなと思います。トモエリバーは差がわかりやすいです。コピー用紙はわかりにくかったです。
またKawecoの鉄ペンは、書き味の良いものはとても良いので、それも差をわかりにくくしているのでしょうね。私はここのところハズレが多かったので、金ペンの書き心地にうっとりしました。

さて、ペン先だけでも国産金ペン万年筆が買える金額だな、ということで、こちらを新年筆とします。
2019年の忘年筆は「Kaweco Alsport」、2020年の新年筆は「Kaweco K14ペン先ユニット」ということになりました。

今年も万年筆を楽しんで参ります。
3月にはペン先調整の講座を受講する予定です、今から楽しみ~!!

桑坂 碧

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目に見えないものが普通に認められるようになってきたこの時世に、その時々に少しずつ変わっていく大切なことを逃さず、楽しみ、好きなものに手を伸ばし、書き残してい...

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