ブルーアンバー・ペンダント紛失事件

ブルーアンバー・ペンダント紛失事件
発売情報

うちは規模が小さいので、私がひとりで仕入れ先をまわり、仕入れ量も一度にそんなに多くはありません。
仕入れから帰ってきたら、持って行った現金と領収書を合わせるのですが、これまでほとんど合わなかったためしはありません。びたっと合います。なかなか達成感のある瞬間です(当たり前なんですが)。

それがこのブルーアンバーのペンダントを仕入れた時、計算は合うのですが、持っているはずのブルーアンバーのペンダントヘッドの実物がありませんでした。
ん~買うのやめたんだっけ?と思いそうになりましたが、そんな訳がなかったんですね。女性スタッフにお金を払うところから、領収書を書いてくれるところ、横の男性スタッフが大切に包装してくれて、どういう姿勢で渡してくれたとか、一挙手一投足覚えています。

仕入れ先をいくつかまわった日でしたので、その道中で落としたのかもしれません。仕入れが終わった時に入ったスタバで、一度仕入れたものを確認したときに、テーブルの上に出したまま、しまわなかったのかもしれません。鞄の中から財布を取り出そうとした時に、一緒にぽろりと落ちてしまったのを気づかなかったのかもしれません。ペンダントを手渡された時、小さな袋に入っている状態で「鞄に入れちゃうので、それでいいですよ」と言ってしまったのが良くなかったのかもしれません。

いろんなことが頭をぐるぐるするものの、まったく見当がつきません。アウトだ・・・もうこれはかなりアウトな状況だ・・・と頭を抱えました。

とうとうきたか、とも思いました。
私は海外までは仕入れに行きませんが、海外仕入組から、ホテルに置いていた石を盗られたとか、車に置いといたら盗られたとか「実物を失うこと」は耳にしていました。
私はほとんどの仕入れを国内でしますから、そういう危ない目に遭うことはないなと思っていましたが、それでも置き忘れたり、落としたり、すられたりは今後の天然石販売人生で、一度はあるかもしれないと思っていました。

夜、営業時間が終わったであろう先がほとんどで、それでも思い出す限りのところへメールで連絡しました。
一晩、ヘナヘナの状態で過ごしました。

あの石は今頃、どこでどうしてるのかなぁ。
誰かに拾われたとしても、あれがブルーアンバーと気づいてもらえる確率は低いなぁ。
そしたら、その青い光に気づいてもらえないまま、使われたりするのかもしれない。
石は必要なところに行くというから、そんなことは関係なく、どこか行きたい場所があったのかもしれない。
そのために、私が今痛い思いをすることを、生まれる前から約束してた(石と)んかなぁ。
いやいや、ひょっこり出てくるかもよ。どこかから、良い連絡があるといいなぁ。
なんか、ある気がするなぁ(笑)。
んなわけ、ないかなぁ。
んあぁーーーー。

・・・などなど、思っていました。

次の日、ほとんどの場所がとても丁寧な返信をくださいました。そのことにもびっくりしました。もっと素っ気ないものかと思っていた場所まで、こちらを気遣ってくださる文メッセージをくださいました。
その中に、

「いただいたお土産の袋の中に、一緒に入ってましたよ!持って行ってあげましょうか?」

と、発見の連絡が!!
その上、優しすぎるお言葉までいただいてしまいました!!!
「とんでもない、すぐに取りに伺います、ありがとうございます!」とまた別のお土産を買って、飛んでいきました。

この石はうちで販売すべきものだったのか、そっかそっか、と思いましたが、この一件で、私自身は仕入れの時に楽しくて浮ついてしまうのを、なんとかしなくてはな・・・と反省しました。
また、そういう困った時に皆さんがとても優しくて丁寧で、自分もそうあろうと思いました。
鞄の中の整理が悪いのかな、大きな袋に内ポケットひとつの鞄なのでバッグinバッグを使うとか、何軒かまわるときは仕入れたものはエコバックに全部入れるとか、どうにか対策しようと思います。

そんなこんなが起きた石です。
手に取られた方のところでは、どんなふうに動いてくれるのか、楽しみでもあります。

桑坂 碧

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目に見えないものが普通に認められるようになってきたこの時世に、その時々に少しずつ変わっていく大切なことを逃さず、楽しみ、好きなものに手を伸ばし、書き残してい...

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